バレンシア

バレンシアはスペイン第三の都市であり、パエリア発祥の地として人々を魅了する。未来的な建築と黄金の地中海ビーチが共存し、ユネスコ保護の祭典が毎年3月に火と花火で盛り上がる。気楽なバレンシア文化は、バルセロナの活気を人混みや高価格なしで提供している。 芸術科学都市は、サンティアゴ・カラトラバ設計の白い骨組み構造が圧巻だ。トゥリア川の旧河床を再利用したこの施設には海洋公園、科学博物館、オペラハウス、IMAX劇場が収められている。1957年の壊滅的洪水後に流路変更されたこの古河は、今や庭園や遊具場、自転車道を備えた全長9kmのヨーロッパ最大級都市公園となっている。 歴史的バレンシアは旧市街に遺産を残す。ゴシック様式の大聖堂（ミゲレテ塔に登ればパノラマビューが楽しめる）、ねじれた柱が特徴のユネスコ登録シルク取引所「ラ・ロンハ」、地元民が集う聖母広場だ。 しかしバレンシアの真髄は街角の生活にある。中央市場では1200の店が、モダンな鉄とガラスの建築の下で新鮮な魚介類、ハモン、エキゾチックな果物を溢れんばかりに並べる。ルサファ地区ではヒップなバーやヴィンテージショップがクリエイティブな若者たちを惹きつける。都市型ビーチであるマルバロッサやラス・アレナスでは、地元民がビーチバレーに興じ、伝統的なオルチャテリアでオルチャタ（タイガーナッツ飲料）をすすっている。 本物のパエリア・バレンシアーナには魚介類ではなくウサギとカタツムリを使う。発祥の地エル・パルマールの海辺レストランで味わうのが最高だ。ラス・ファージャス祭（3月15～19日）は市内各地で巨大な風刺彫刻を燃やす壮大な花火大会でクライマックスを迎える。年間を通じて温暖な気候、自転車に優しいインフラ、手頃な価格、地下鉄圏内のビーチ——バレンシアは本物のスペイン沿岸の暮らしを提供する。